豊かな国の現象

2004.1.29

中村紘子著「コンクールでお会いしましょう」
のなかで、気になったことの1つ・・・

アメリカでも、西洋音楽の本場ヨーロッパ諸国でも、
感受性豊かで知的に優れた若者は、
ピアニストなどは目指さなくなってきた・・・という記述です。

同じ時間と労力をかけるなら、医者か弁護士になる方が
人生における効率がいい・・・

幼少からすべてを犠牲にして練習に励み、
しかも結果はどうなるかわからないという生き方は
「費用対効果」から言って理不尽だ・・・という訳なんです。

で、「豊かな国」の人々は、いち早く弾く側から
見る側に回ってしまった・・・

今や世界のトップクラスの国際コンクールの上位入賞者が
ほとんど日本を含め、アジアの人間になってしまったのも
どうやらそのあたりが原因のようです。

イタリアに長く住まわれている関孝弘先生も
「イタリアの子供達でピアノ習ってる子、少ないんですよ。
頑張ってやったところで、ピアノで食っていけないこと
みんな知ってるからね。」
と言っておられたな~・・・

って事は、日本もどんどん豊かになっていく中で、
やっぱりピアノを頑張ろうなんて子も、少なくなっていくのかな・・・

夜のニュースを見ていて「あれ?」と思ったこと・・・

今お相撲の世界では、幕内の70人中10人が
外国人力士だそうです。

これも・・・

相撲の世界は世の中がこんなに変わってきたのに極めて封建的・・・
規律の厳しい閉鎖的な世界で努力に努力を重ね、
それでも大成するとは限らない。

「出世して故郷に錦を飾る」なんて意識のない
日本の若者に人気があるわけがない。
どんなに相撲取り向きの恵まれた体をしていても、
フリーターしながらお気軽に生きていくほうが、
よっぽど楽に違いないです。

で、まだまだハングリーなモンゴルなどの若者が
どんどんと力をつけ上位にのし上がっていく・・・
これは当然なことなのかも・・・

でもなーんか寂しい話ですよね。

モーツァルトやショパンが生まれた国から
ピアニストがいなくなることも、
日本から日本人のお相撲さんがいなくなることも・・・

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