ゆっくり咲く花・・・

2004.2.5

先日あるピアノの先生と、お話しするチャンスがありました。

その先生はお若い先生なんだけど、
きちんとした信念を持ってお仕事なさっている方です。

「小さいうちはお母さんの協力が不可欠。
 お母さんがちゃんと毎日の練習に付き合ってくださるかどうか、
 そのことを確認して、ご協力いただけない方は
 入会をお断りしているんですよ。」

で、入会後も、きちんと練習のできない子は、
辞めてもらうこともある・・・とのことでした。

お話を聞いた時は・・・ただただ私は「すごいな~」としか・・・

そう言った親も協力的で、
毎日きちんと練習できる子だけを教えると言うのは、
本当にやりがいもあるし、
めきめきと成果も現れてくるので楽しいかもしれません。

ただ・・・

その先生とお話したあと、ふと2人の生徒のことが
頭に浮かびました。

その子達・・・2人とも今中3の男の子です。

小さい頃から通ってきているけど、
2人とも練習はぜ~~んぜんしない子でした。
どちらかと言えば、嫌々レッスンに来ている・・・と言う様子・・・

その子達が、いつだったでしょうか、中1くらいかな?
変わり始めたんです。

自分の弾きたい曲の楽譜を持ってきて
「これ弾いてきたから・・・」と言って聞かせてくれるんだけど・・・

これがまた、いいんです・・・

ポピュラーだったり、映画音楽だったり、
クラシックだったり・・・

好きだから、弾きたいから弾いてきた・・・
やっぱり押し付けられたものとはどこか違う
すごくハートのある演奏をしてくれます。

私は「今日は何弾いてきたの?聞かせて?」と言う具合・・・

で、その2人の少年は
今まさに受験の真っ盛りだと言うのに、
お母さんの「受験だから休めば?」と言う言葉にも
「いーや、休まん・・・」と言って
今月もレッスンにやってきてくれているのです。

あんなに嫌々来ていた子達が、
今こうしてこんな時期にでも、楽しげにピアノを弾いて
私に聞かせてくれる・・・

これは、生徒がコンクールで賞を取ったとか、
音大に合格したとか、それとはまたちょっと違う、
だけどやっぱりすごく幸せなことなのです。

きちんと練習しない子しか教えない・・・

悪いなんてことは思いません。

ただ、この子達みたいな、ゆっくり咲く花を育てる喜びを
この先生が感じたことがないのであれば、
それはそれで気の毒かな~、とも思ったりします。

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