上原彩子さん

2004.3.6

私が音高に通っていた時、師事していた先生は
やや年配の、女の先生でした。

とてもとても品のある、無駄なことはあまりしゃべられないような
「これぞピアノの先生!」と言うような方で
私もとても憧れていました。

いつもスーツ姿でヒールある靴を履いておられたような・・・

その「上品の塊」のような先生のレッスンなのですが、
何度か忘れられないシーンがあります。

強弱をつける・・・と言う時にその先生がいきなり
大きく足を広げてピッチングする格好をされるのです。

「遠くにボールを投げる時・・・こう・・・こういう風に
体全体を使って投げるでしょ。
遠くにボールを飛ばそうと思ったら、体全体使わないとだめでしょ。
フォルティッシモの音を出す時もそう。
体全部を使って・・・ね。」

大ばかちんの私は、その他この先生に何を習ったかなんて
どっかにすっ飛んで忘れてしまっているのだけど、
この先生の「ピッチングフォーム」だけは、忘れられないことなのです。

これは私も大いに利用させてもらって、レッスンでも時々
生徒の前でやっています。

「大きなホールで、豊かな響きでピアノを鳴らしたい時・・・
力いっぱい叩いてもだめ。
こういう風に・・・遠くにボール投げるみたいにね、
足は大きく踏ん張って、腰から上半身全部の重さを利用して・・・
逆に近くにいる人にボール投げる時、体全部なんて使わないでしょ。
肩からだけだったり、もっと近かったら手首だけでも投げれるよね。

強弱ってのは、体のどの部分からの重みをかけるかでつけると
体を痛めずにいい音が出せるよ・・・」

ま、私が大きく足を広げてピッチングフォームしたって、
誰も記憶に残ったりはしてくれないでしょうが・・・

一昨日夜遅く、NHK教育テレビの「トップランナー」と言う番組に、
あの「上原彩子さん」が出演されていました。

彼女のトークを聞くのは初めてなので、
座り込んで見ていると・・・

やはりこの「どこを使ってピアノを弾くか・・・」が
彼女がとても大事にしていることだ・・・とおっしゃっていました。

あのロシアの名指導者、
ヴェーラ・ゴルノスターエヴァ女史に長年受けてきた指導が
私が受けてきた指導や、私が今やっているレッスンと
そーんなにめちゃくちゃ大きくは違わないのかな?
と思うと、ちょっと嬉しくなった一瞬でした。

ただ・・・
おーーおきく違う点もありました。

彼女はたくさん練習する日は、
一日13時間もピアノに向かっているとか・・・

は~~~、これは
私とも、私の生徒とも、めちゃくちゃ大きく違います!

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