イギリスからのメール・・・Part3

2002.10.10

イギリスの音大に通うMiyukiさんから、またメールを頂きました。
Miyukiさんが師事しているロシア人の先生のレッスンの様子です。
とっても興味深い内容でしたので、また転載させて頂きます。

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ごぶさたしております。
学校がはじまってもう2週目も終わろうとしています。
ピアノのレッスンの様子をお伝えしたいと思います。
私はイギリスの音大にて勉強していますが、以前にもお伝えした通り、
ロシア人の先生についているので、ロシア流の指導です。

先生はとてもスタミナがおありになり、今週の私のレッスンは、
火曜日夜7時20分から9時45分、水曜日、朝7時30分から9時、
3時30分から4時20分というものでした。
今週は先生に時間があったのでレッスンも多かったのです。

生徒によって、レッスンはかなり違います。
これから書くことは、あくまでも私の場合です。

火曜日のレッスンでは、バッハの平均律2巻1番、ベートーヴェン ソナタ32番のみでした。
バッハは、ある程度できあがっていたのですが、まず、プレリュードのトリルの入れ方があまく、
何度も先生が弾いてくださるのを聞いて、トリルのみを10分以上できるまでやり直し。
先生が弾いてくださると、まず音が違います。
よりその音に近づくまで繰り返します。
先生の根気のよさには、脱帽します。
あとは、いかに曲として仕上げていくかが、私に対する課題です。

その後、ベートーヴェンのソナタを通して弾き、音の出し方、勢い、流れを注意され、
隣で先生が歌ったり、手を振り回したりしながら、流れに乗せて下さいます。
(以前、ドビュッシーのミンストレルズを弾いていた時は、
隣で踊って下さったりもしました。)
しっかりとした音、でも重くならないように、右手の小指をもっと使うということも、
今回は、特に注意されました。

タッチを注意する時、 先生は、よく指を上からつかみ、先生が、動かすことによって、
スピード感などが感覚で身に付き、分かりやすいので、それまでできなかったことが、
嘘のようにできるようになります。

翌日のレッスンでリストのエロイカを弾いた時は、
細かいパッセージの練習方法を、一緒に考えて下さいました。

私が1年生の時は、ゆっくり、曲に表情をつけずに練習し、
レッスンにもっていくことが課題でしたが、
今はある程度自分自身で表情を付けて弾きこみ、暗譜をしていかなければ、
きちんとはみて下さいません。

常に、暗譜と戦かっています。
でも、エチュードは、ゆっくり暗譜で弾いていき、レッスンでテンポを上げていきます。
常に私の場合、多くの曲をもっていきますが、
一つの曲を仕上げるのには、かなりの時間をかけます。
もうかなりできあがったはずの曲も、一度レッスンを受けると、
魔法にかけられたように、良くなっていくので、毎回のレッスンが楽しみなのです。

なにしろ、音色には、かなり厳しい先生なのです。
余談になりますが、今年のサマーコースの最中、先生方のコンサートがあり、
私は、先生と知り会ってから5年もたつのに、初めて先生の演奏をききました。
ハイドンのHob.XVI:52 のソナタを弾いたのですが、
ここまでハイドンをきかせる演奏は初めてききました。
音色が本当に豊かで、音の宝石が散らばっていました。
レッスンで仰ることが、一度にわかった気になりました。
今までにも、レッスン中に、先生の奏でるピアノに何度もため息がでるばかりでしたが、
改めて感動し、勉強することがまだまだ沢山あるのだと、実感しました。

レッスンの内容を文字にするのは難しく、私の日本語能力の低下
(もともと駄目なのですが)もあり、うまくお伝えできるのかわかりませんが、
これが、大体の内容です。
できるまで、何度も繰り返すというのが、良いことだと思います。

決して妥協はされません。
ミスタッチはしても仕方がない、自分でどう弾きたいのか、
音楽的に、個性をもって、一音一音に魂をいれて、音を良く聞く、
というのが常にレッスンで繰り返されることです。

友達や、サマーコースで知り会った方々にいわせると、私のピアノは、
門下生の中でも、特に先生のロシアの影響をうけているらしいです。

わかって頂けましたでしょうか?もし御質問があれば、仰ってください。
その方が、答えやすいです。
今度、イギリス流レッスンについて、お伝えしますね。だいぶ違いますので。

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ロシア人の先生のパワー溢れるレッスンの様子が、目に浮かぶようです。
それにしても、暗譜でないと見てもらえないってのがすごいな~・・・
私なんて、大学時代でも、やっと譜読みできた段階で持って行ってたような・・・

で、イギリス流レッスンもとても興味あります。
また時間が取れる時、聞かせてくださいね。
本当にありがとう!

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