マクガレル先生

2012.12.30

今日の朝刊に
エリザベト音楽大学前理事長、元学長の
ローレンス・マクガレル先生の訃報が
載っていました。

マクガレル先生・・・
エリザベトの卒業生なら、
ほとんどの方がご存知の先生だと思います。

私が学生だった頃はまだ学長先生ではなく
一講師として教壇に立っておられました。

私が先生に受けた授業は
確か「ピアノ教育法」・・・だったかな?

うん十年も前のことなので
記憶はぼんやりなのですが、
その頃市販されていた子供たちのピアノの教本を
何グループかに分かれて研究してみる、
という内容の授業もありました。

確か、私のグループが担当したのは
「トンプソン」でした。

最初の導入本にどんな内容が記され、
何を身につけさせようとしているのか、
良い点は?不足している点は?
そんなことを検証して、最後にみんなの前で発表する・・・
そんな流れだったように思います。

その当時は、
今ほど多くの教材が出回っているわけではありませんでしたが、
いろいろな種類の教材を比べてみて
確かにそれぞれの特徴もあり、興味深いものでした。

私は学生のころから、
近所の小さい子をアルバイト感覚で教えたりしていたのですが
教材は、自分が小さい頃使っていたものを使い、
それに何も疑問も感じずにいたので、
教材をちゃんと選ぶ大切さ、
そしてその教材の全体をしっかり把握することの大切さも
学んだように思います。

そして、アメリカ生まれのマクガレル先生、
幼いころはトンプソンの教材でピアノを始めた話をして下さいました。

1巻の前に「小さな手のためのピアノ教本」という導入用の
横開きの本があるのですが、
それからスタートしたと・・・

その本は、ほとんどは一点Cからの片手交互奏・・・
両手を使って1つの旋律を弾くだけのものだったのですが、
最後の曲だけメロディーと左手の重音・・・つまりハーモニーが出現するわけで・・・

その曲を弾いた時の感動、驚きを
私たちに語って下さいました。

もしかしたらその感動がきっかけで
自分は音楽の道を進むことになったのかもしれない・・・と・・・

そのことは、私の中でずっと消えない話でした。

子供と音楽との出会いというのは、
その人の人生をも変えてしまうほどのものなんだなー・・・

その頃、実を言いますと、
ピアノの先生に対する私のイメージは
あまり良いものではなかったんです。

1人部屋に籠って
子供とそのお母さんだけを相手に一日過ごす職業・・・
なーんか地味だな、とか、つまらないな・・・とか・・・(笑)

その頃電子オルガンもやっていたこともあり、
その断然華やかな世界の方に、魅力を感じていたことも事実です。

でも、あのマクガレル先生の授業で、
ピアノの先生も案外いいかも・・・
と思ったような気もするんです。

もしかしたら、あの先生との出会いがなければ
今の私は存在しないのかもしれません。

先生のご冥福、お祈りしたいと思います。

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